タフらいと誕生物語【はじめに】(3)

LEDを商用電源で光らせる困難はここから始まった!

 電解コンデンサーの特性は、とても多くの技術者を悩ませました。たった数十円の部品のせいで、商品そのものが使えなくなってしまう可能性があるからです。
そこで、各社は電解コンデンサーに熱が行かないように工夫を凝らしました。ファンを搭載したり、穴を開けて空気が少しでも逃げるようにしたり、電球を大きくしたり、フィン(ギザギザ)をつけたりと、様々な対策が打たれました。

 しかし、ファンはファンそのものに寿命があり、音がします。ファンが先に壊れたりしました。穴を開けると、電球に水が入りやすくなりますし、電球自体が大きくなってしまうと電球じゃ無くなります。
またフィンをつけるとそのうちにゴミが付着し、放熱効率がかえって悪化します。

 それでは、電解コンデンサーを使わなければいいじゃないかという事で、電気を蓄える力が小さい、他のコンデンサーを使用して商品化をしたLED電球も関西の大手メーカーから出ました。ただチラツキが激しく、原価も上がったため、しばらくして市場から消えました。

 しかしながら、白熱電球よりも消費電力が8分の1というメリットと、年々LEDの発光効率が上がっていき、折しも東日本大震災で、日本国民の間で省エネに関しての関心が高まってきた中、LED電球の市場が拡大し、それに伴い、このような技術的な課題を抱えたままで、LED電球は激しい価格競争に入っていきました。

 その価格競争に先鞭をつけたのは、韓国や台湾、中国などの海外勢でした。LEDの勃興期に、欧州向けで力を蓄えてきた彼らは、低価格を武器に日本市場に参入してきました。

 デザイン性も低く、見た目は、海外製も日本製も変わらないLED電球。日本の大手企業もその低価格の波をまともに受けました。
さらに事態は深刻化します。中国企業の台頭です。安価な労働コストに支えられた経済成長の脱却を目指し、ハイテク産業には政府系の金融機関が湯水のごとく、今までの貿易黒字で得た資金を貸し出しました。その中の大きな産業の一つがLED業界だったのです。
LED素子を生産するのに必要な”MOCVD”という装置の、実に80%を中国企業が買い占めたと言われる年が数年続いたと言われています。