タフらいと誕生物語【第12章】

反転

やや好転する兆しがみえてきたは、商品が本格発売してから半年ちょっと経過してからである。それは、照明という基本的な機能を追求した“長寿命”でも“高演色”でもなく、『火の色』電球というかなり特殊な商品に対して、市場が興味を持ち出してきたのである。

色修正技術等によって本質的な差がわかりにくいという課題は依然としてあったものの、商標登録をした『火の色』というコピーがわかりやすく、“アンチLEDの光”の購買層を呼び覚ました。
自社サイトの訪問数が劇的に増え、販売も増加してきた。B2Bの商材紹介サイトでも週間のカタログランキングで6万点中、トップ10に何度か顔を出すような状態になってきた。
火の色電球の販売は伸び始め、自社サイトである程度の注文が入るようになってきた。また、この商品性に着目した大手の家電量販店がこの商品を扱いたいとのことで、まず旗艦店と言われる店舗での販売を開始する事になった。

そして、この火の色電球の後に、今までとは全く違う系統の商品において、ついに私達は、この長寿命LEDの特性が合致するかもしれないと言う実感を持つ事ができる市場を見つけたのである。

それは、タフらいと(リフォーム)と命名された、既存の蛍光灯と同じ形状をした商品である。

この商品は、実は、電球タイプに比べると、体積が大きい為に比較的まだ電解コンデンサーレスを作りやすい。つまり他社でも“力技”でやろうと思えばできないことはないと思っていた。そのために、今までは参入を控えていたのだが、多くの方々からの『長寿命なら直管型を作って欲しい』という要望を受け、少し遅れて商品ラインナップに入ってきたものである。

この照明は、主に事務所やビルやマンションの共用部と言った市場が主であった。そしてこの市場では、多くの人が明らかに不安に苛まれていた。
なぜなら、この市場にいる人たちの過去に扱ってきた量が非常に多い。LEDの壊れないという社会通念とセールストークに乗って取り付けたものの、その故障を体験する頻度が、一般の人に比べて非常に多いのである。

『LEDなのになんで壊れるの?』

これがこの業界に関係する人たちから聞く共通の言葉であった。

ここの市場にいるほとんどの人たちは、LEDに対して漠然とした不安を抱えていた。信頼に足る、長期保証がついている照明を探し求めていたのである

そして、この市場では、今まで私が苦しみに苦しんできた、LEDの先駆者たちが作り出した流れが、初めて私に味方することになる。

LEDの各メーカーとも、『LEDは長寿命』と言うイメージと、実際の市場での故障率の差に苦しんでいた。そして、そのギャップを早急に埋めあわせる必要性に迫られていた。そこで、照明の体積を増加して、放熱面積を増やした『器具一体型』によって、そのギャップを埋めようとしていた。故障の最大の要因は、『熱』である。器具を大型化する事によって故障率を下げようとした。

しかし、それは、『壊れたら器具毎全部交換』しなくてはならず、その交換には、第二種電気工事士以上の資格を持った人が、『電気工事』をしなくてはいけないことを意味する。
そして、それはある意味、『LEDは壊れない』という自らが作ったLED神話を上手に利用した戦略とも言えた。壊れないから電気工事もそんなに心配はいらないですよ、というロジックである。

しかし、ここで市場は反応した。社会的な通念として、『器具ごと交換』や『電気工事』という言葉に対する拒否反応が存在していたのである。
しかも、落下防止や誤挿入による事故防止という理由のために、日本のメーカーは蛍光灯型のLEDに対しては、日本独自の口金の規格を立ち上げた。今までの器具が使えない上に、世界で流通しているものとは互換性のないものである。まるで、海外製品を追い出すかのような規格であった。

しかし、市場はこの規格にもNOを言った。少なくとも現段階では大きく普及しているとは言い難い。プラスチックでできているLED直管は、重量が多少重かったとしても、蛍光灯のように落ちて飛散するような事はなく、世界標準による低価格がその心配を凌駕し、消費者はグローバルな規格を選んだのである。

しかし、一方ではこの世界標準が入ってきたことによって品質的なばらつきが多く、市場での不良が多発していた。そして、その被害をまともに受けていたのが、このビルやマンションに関係していた人たちなのである。

私達の、このタフらいと(リフォーム)は、今まで蛍光灯で使っていた器具をそのまま使用することが可能である。今までたくさんの現場を見てきたが、特に室内の場合は、今まで10年以上使ってきた蛍光灯の器具でも、十分に使えるものが多い。したがって、その器具をそのまま使用してLED化にする事ができる。つまり器具をまるごと交換する場合に比べ、初期費用を大幅に抑える事ができる。
しかも、万が一、故障があったとしても基本的には誰でも交換することができる。したがって、故障の際のコストを極めて安価に抑えることもできるのである。
それだけではない。『電気工事』のタイプは、5−6年先は、メーカーが同じ商品を生産終了して、同じものが手に入らない可能性がある。つまり、取り付けた際の美しい状態が、時間が経つにつれ外観上、そして明るさや色の具合もバラバラになる可能性もある。
それに対し、今までのように電球部分のみ交換して器具の外観は変わらないタフらいと(リフォーム)は、このような懸念も極めて少ない。そして、世界標準の口金である以上、世界中のどこかでは生産、販売されており、将来において調達できないというリスクも限りなく少ない。

このような背景から、この業界に世界においては、私達の保証がついた長寿命のLED電球群は異彩を放った。

そして、ここでの私たちの市場に対する提案は、『世界中から電球というゴミをなくしたい』という、私の思いと完全に道を一つにするものであった。環境に優しく、不必要なゴミが出ないのである。

ここにきて、初めて社会的通念が私に味方したのである。『器具ごと交換』と『電気工事』に対する拒否感と、今まで誰もがしてきた、『電球交換』ですむという安心感に、長期の保証が付いていることによって、タフらいと(リフォーム)は、市場にスムーズに参入する事ができた。この長寿命商品は、ようやく市場の用途と認識にあった場所を見つけたのである。

しかし、私達の目指す姿は、『世界中から電球のゴミを一掃する』と言う事である。
その実現に向けて、私達は、さらに一層の努力と、今まで以上のチャレンジを継続していかなくてはならない。
その事が、支援いただいている方々への恩返しでもあり、社会への感謝であり、この会社の存在意義である。

私たちの大事な未来の子供達に、この美しい地球を残すために。