タフらいと誕生物語【はじめに】(5)

誰でもできちゃう?LED電球

 LED電球というのは、今までの白熱電球のように同じ商品を作り続ければ良い、つまり、先に設備投資をしてしまった方の勝ち、という照明の世界を一変させました。
LED素子メーカーが、例えば中国の政府系の資金を使い、世界標準の生産設備を
購入し、生産を行い、それを、パッケージメーカーがLEDモジュールなどにする。

 それを、電源のICチップメーカーが推奨する駆動用の基板(いわゆる電源回路)を、その回路図通りに組み立てる実装メーカーがいて、最終的には、これらのモジュールを、組み立てるだけのLEDメーカーがいればできてしまう世界に変わりました。

 この水平分業型の産業は、メーカーにノウハウも必要がなく、ちょっとした資金があれば、誰でも生産可能な形態であり、電球産業が、いわゆる参入障壁が低い業界に変わった瞬間でした。

正確に統計を取ったことはありませんが、中国だけで数千ものLED関連メーカーがあると思います。

 人件費や、資金の調達コストが違う中国、韓国、台湾系のメーカーに対抗して、
日本企業が打ち出したのが、「設計寿命4万時間」というコンセプトでした。

1日6時間(夕方6時から深夜0時)の使用であれば、18年間光りますよ、というもので、実際に日本を代表する電機メーカーが広告で、『20年使用できます』と大々的に宣伝するような、過度な宣伝広告が繰り広げられました。

 現在、私達の思い描く『LED電球は10年以上もつ』というイメージが刷り込まれたのは、まさしくこのLED黎明期の宣伝の賜物でした。

 一方、目を転じて世界市場を見たときに、世界の3大メーカーである、エジソンのGE社、オランダのフィリップス社、ドイツのオスラム社は、全く違う動きをしていました。彼らは、中国に開発拠点をシフトし、開発コストの低減と、安くても力のある現地メーカーとのOEM、ODMなどの連携を深めていきました。

競争は、コスト、デザイン、ブランド、販路、消費電力に重点を置き、日本のような過度な長寿命競争には入りませんでした。

 したがって、現在でも欧州、米国、アジア含め日本以外の地域で発売されている
LED電球の設計寿命は、2万5千時間ほどです。

ドイツのオスラム社と提携していた、三菱オスラム社の電球は、日本でも最後まで、設計寿命を2万5千時間としていたのは有名な話です。

 垂直統合型の日本企業が打ち出した、『設計寿命4万時間』のコンセプト、この
戦略が次第に自分の首を絞め、そして、消費者の不信感を招き寄せることになるのです。