タフらいと誕生物語【第3章】(2)

冒険への誘い(胎動)

 そこで、第二の方法で商品化を探ってみることとした。こちらの方が、現在の私のビジネスの範囲内であり、相手が例えお客さんであったとしても、やり方によっては、上手に影響力を行使しできるかもしれないと思った。細かな課題は、予測できたが、それは相手が乗ってきてからまた考えよう、私はこう決意した。

 しかし、そんな心配は、まさしく杞憂に終わった。

 最初に行った作業は、顧客にこれを紹介する前に、回路図に自社の部品を載せることだった。そうすることで、この技術が広がるほど、掲載されている自社部品の注文が増え、自分の販売成績が上がるからである。
 しかし、そうはならなかった。掲載できる自社の部品を一つも見つけることができなかったのである。

 しかしながら、そんな問題はその後間も無く、跡形もなくなった。もっと根本的な問題にぶち当たったのである。なんと、この『電解コンデンサーレスによる超長寿命化』のコンセプトが、いかなる中国LEDメーカーや欧米在華の開発センター拠点から、真っ向から否定されたのである。

その答えはこうである。

『1円でも原材料費が上がるようであれば、その技術には興味がない』

 私は、驚きと同時にその言葉を素直に信じる事ができなかった。確かに、この技術を開発、紹介しているのは、LED専門のソリューションメーカーではない。従って、いきなりそんな話を聞かされても信用する気が起きないのだろう、と私は理解した。
 つまり、この反応の原因は、商品そのもののコンセプトの問題ではなく、説明方法に問題があると考えたのである。
 いずれにせよ、誰からも、全く相手にされなかったのである。最初の紹介は完全に空振りに終わった。

 そして、この言葉は、今後、常に私の前に出現し、重大な局面において、大いに私を悩ませることになるのである。