タフらいと誕生物語【第6章】(2)

複雑な問題(新たな2つの壁)

 そこで、続く資金調達として、政府や東京都が実施する助成金への応募を行った。幸いいくつかの認可をいただく事ができた。これによって、日本でも開発、解析が可能になる設備器具を購入し、設計活動を推進することができた。
 しかしながら、補助金や助成金は、先に資金を準備し、かつ助成額の1/3から半分を自己負担しなくてはならない。その資金および活動資金として政府系の銀行などからの多額の借入を行い、それに充足させることとした。
 こういった活動によって、苦しみながらも徐々に真の長寿命LED電球の発売に向けての準備を行っていった。

 商品の開発は多額の費用を必要とする。商品の設計が終了した時点で、すでに資金は底をつきかけていた。私が、会社を去ってすぐにこのような状況の中にあった。
 明日をもしれないプレッシャーに押しつぶされそうであった。資金不足のために、自分の退職金から数ヶ月分の家族の生活費を残して、全部つぎ込むより他はなかった。私の人生において、夜眠れないということは今まで皆無であったが、さすがに夜眠れない日々が続いた。このまま終わってしまうのではないか、愛する家族を路頭に迷わせるのではないかと悩んだ。


 そして、このあたりから、常に私の前に立ちはばかる事になる2つの大きな壁が出現し、私を苦しめ続けることになる。
 一つ目の壁は、『実績』という大きな、大きな壁である。

 資金不足を解消する為に、改めて政府系の金融機関にお願いした。しかし、すでに『実績もないのに貸したのだから』と全く取り上げてくれる様子もない。一般の銀行は、全く取りつくシマもない。東京都の公社からあるプログラムの支援を受けており、それを介してお願いをしたりしたが、『実績がない』の一言で終わってしまう。

 そこで、活動の方向性を変え、投資家よりの資金提供を頼ることとした。ビジネスプランを策定し、ベンチャーキャピタル(VC)を回り、私の技術および事業性、そして、この技術が世界を変えるかもしれないという事を説明して回った。
 飛び込みの売り込みは、散々だった。WEBに応募しても返事はまず来ない。電話しても、面会までこぎつけられた会社は一社もなかった。
 実際に会えたのは、以前、新聞記事などで(日経新聞朝刊に長寿命LEDとして掲載された)連絡をくれたことがある会社と、人づてで紹介された一社のみという状態だった。そして、結果は、全て『NO』であった。後に出てくる1社を除いては。