タフらいと誕生物語【第6章】(3)

複雑な問題(新たな2つの壁)

 その『NO』となる主な理由は、2つであった。まず一つは、またしても『実績』の2文字であった。実績がないから投資できないというのである。逆に実績さえあれば投資はできるビジネスだと。日本の実績重視は、話には聞いていたが、まさか、未来に投資するベンチャーキャピタルにおいて、ここまで実績が重視されているとは思わなかった。

 

 そして、この活動でほぼ同時に私に襲いかかった2つ目の大きな壁は、『LEDは壊れない』という社会的な通念であった。これは、あったという過去形ではなく、『である』という現在形で表現すべきものであるかもしれない。この壁は、最初のクラウドファンディングの失敗の最大の原因であり、これを書いている現在でも、未だに大きな壁となって立ちはだかっているのである。

 投資判断をする人も含めた、ほとんど全ての人の認識が、

『LEDは壊れない(もしくは、自分(=彼)が自宅で使っているLEDは壊れていない)』

から、私の電解コンデンサーレスの長寿命技術は、必要がない、もしくは、存在意義が極めて薄いというのである。
 実際に、市場でたくさんのLED電球が壊れているかもしれないけど、それは『たまたま運が悪かっただけ』『海外製の安物LEDを買ったから』などと考え、処理をしてしまっているのである。なぜなら、日本が誇る名だたる大企業が、『LEDは、10年も20年も持つ』と宣伝しているではないか。と言うところから来る心理である。

 こういった、通念が日本を覆っている中で、こんな小さな『実績もない』会社が、小難しい技術論議を振りかざしても、応援する気になれないのである。


 この認識は、以後、現在に至るまで常に私を悩まし続ける事になる。なぜなら、電解コンデンサーを使うことの弊害は、あまりに技術的すぎて、一般的には、あまりに難しすぎるのである。そして、その技術を否定するのに十分な社会的通念があり、信じるための動機があまりに薄すぎるのである。しかも、その立証には数年先まで待つ必要があり、今、判断しようにもそれは無理なのである。