タフらいと誕生物語【第6章】(4)

複雑な問題(新たな2つの壁)

 これは、LED草創期から現在に至るまで、大企業から小さな商社に至るまでありとあらゆる関係者が作り続けた通念であった。大企業は、テレビCMで、直接、間接的に長持ちの夢の電球を訴え続けた。20年光るとCMを流し続けた大企業もあった。大企業がそういうと、関係者も言い始める。関係者は、単価の高い商品を売る為に『一度買えば一生使えるからお買い得』との宣伝、営業活動に精を出した。そしてついにLEDは壊れないという通念が日本では出来上がった。(ちなみに海外では少なくともここまで強いLEDの長寿命に対する通念はない。大手企業の広告宣伝戦略の違いなのかもしれない)


 LED電球の中には、もれなく『寿命が決まっている』部品が組み込まれている。それだけ聞くと、何のことかわからないのだが、『寿命が決まっている』というのは、『ある時間が来たら寿命が来る=壊れる』ということである。それが、電解コンデンサーという部品である。ちなみに、電子部品でわざわざ寿命の時間を書いているものなどなく、それをわざわざ記載しなければいけないほど、この商品は、長期使用には向いていないのである。

 その上、この部品は熱に極めて弱いのである。周囲温度が10度上がると寿命が半分になるという特性を持っている。そして、LED素子は、通常100度を超える高温まで上昇する。そんな過酷な温度環境で使用される商品が、一生使えるというのは、明らかに誇大広告としか思えない。

 そんな社会の歪みを修正したいという願いで事業を始めたまでは良いのだが、見事に、自らその歪みに最初からはまってしまい、身動きが取れなくなってしまったのである。

 ここにきて、完全に進退窮まるのである。活動しようにも全く資金がなく、ものを作る事も、市場に紹介する事も何もできないのである。
 船出をしたものの、振り返れば出港した港の景色がはっきりと見えるくらいの距離で、すでに沈没船に近かった。