タフらいと誕生物語【第10章】(2)

出陣準備3(101)

 設計は、慎重に慎重を期した。電子部品は、温度によって、電圧・電流によって、その振る舞いが微妙に変化する。その変化は部品によって異なり、まるで先生の言うことを聞かない元気な幼稚園児のようである。その幼稚園児の性格を頭に入れて、どんなことが起きても、学芸会が終わるまで、最後まで美しい演奏や劇が実現できるようにしなくてはいけないのである。これは、熟練の匠の技であり、知識と経験が必要であった。

 そのために、世界でも指折りのアナログ界の権威と言われる人物にその役割を委託することにした。もちろん、無尽蔵に開発資金を提供できる話ではなく、むしろその真逆の状態(つまり資金難)の中での交渉であった。
 当然、交渉は難航を極めた。私が用意していた金額の3倍以上もの見積もりが来た。しかし、私は諦めたくはなかった。この人類が経験する記念すべき商品に、ほんの少しでも間違いが起こる可能性を排除したかった。
 北島が開発した世界最高の技術を、世界最高の権威に設計して欲しかった。諦めたくはなかったのである。私は、考えられるだけの方法で粘り強く交渉し、ついに、その了承を獲得したのである。

 まさしく、鬼に金棒であった。
 秘密保持契約締結の後、そして、そのアナログ界の世界的な権威は、まさに芸術的な設計によって、完璧な電子回路を完成してくれたのである。採用部品は、一部作っていない部品を除き全て日本メーカー製を採用した。電源ONOFFは、1日8回行っても100年持つように30万回使用可能な部品を採用した。
 全て量産品として購入可能な電子部品を選択し、量産品として設計を行った。