熱設計2

前門の虎、後門の狼

LED電球にとって、熱は大敵であることを熱設計と信頼性1 LEDの寿命を決める電解コンデンサでご説明しました。電解コンデンサ周辺の温度をいかに下げるかが、その信頼性と寿命のキーになります。

しかし、その熱はLEDの外からやってくるのではなく、自分が発する熱の影響をまともに受けることによってダメージを受けてしまうのです。熱を電源に伝えない(断熱)事が大事ですが、今度そうすると、LEDチップが自分の熱で壊れてしまいます。壊れるまで行かなくても、寿命に大きな影響を与えてしまいます。

つまり、LEDの熱を逃さないとチップが損傷し、熱を逃がすとその逃した先に、もっと熱に弱い部分(電源回路・電解コンデンサー)が待っている。これが、冒頭の「前門の虎、後門の狼」の意味なのです。

とはいえ、バランスを考えずに熱を処理する(放熱)とはどのようなものかについて、少し考えてみたいと思います。最初に理解しなくてはいけないのは、当たり前ですが放熱とは空気中に熱を出す(伝える)事ですが、空気はもっとも熱が伝わりにくい物質の一つでもあります。ちなみに、熱伝導で熱が伝わらない代表は「真空」です。魔法瓶や冷蔵庫の断熱でも利用されています。話はそれましたが、一番受け取ってくれない人(空気)に熱を渡すところに、熱設計者の苦労があります。加えて熱は電気回路と異なってアナログでの検証が難しいため、LED機構設計者(熱設計者)の徹夜仕事が続くわけです。(さらにコスト目標が拍車をかけます)

ではどんな解決策があるかというと、一番手っ取り早いのが「熱伝導」で、発熱部分の熱を他に持っていき、表面積と温度差を使って熱を空気に逃す事です。そのためには、熱抵抗(電気抵抗と同じようなものだと思ってください)の低い物質が使われます。通常はアルミや銅などの金属が使われます。ちなみに世界で一番熱抵抗率が低い物質は、ダイヤモンドと言われています。しかし硬くて加工できません。(いやいや、使えないのは値段でしょう!とつっこんでもらう場所ですが(笑))

ただ、熱伝導は所詮金属等に伝えるだけですので、やはり最後には空気に伝えないと、熱飽和(熱がこもってしまうこと)をしてしまいます。ですから最終的には、いかに熱を、熱伝導率の低い空気に伝えるかという事になります。ここで重要になってくるのは、

  • 1. 空気と接している面積の大きさ
  • 2. 空気との温度差(デルタT)

の二つです。車のエンジンやエアコン、半導体の冷却などをご存知の方はお分かりかと思うのですが、ヒートシンク(放熱板)は、でこぼこしていますよね。これは少しでも空気との接触面積を増やそうとしているためです。LED電球も、凸凹(放熱フィンが立っていると言ったりします)がある商品を見かけるのはその為です。 デザインよりも性能という事ですね。

空気との温度差

そして次に重要なのが空気との温度差です。熱設計者は、出来るだけ寒いところで商品を使ってほしいと切に思っていますが、残念ながら通常の電子機器の動作保証温度は、約40℃です。しかも、ヒートシンクの近傍の熱はその熱が伝わっていますので、40℃以上になっているケースがほとんどです。暖められた空気は対流を起こし動きますが、やはり周辺の熱はこもってしまうため、冷却が難しい状況になってしまいます。
そこで扇風機(ファン)の登場です。強制冷却とも言いますが、ファンによって冷たい空気を常に巡回させることによって、放熱効果を飛躍的に上げる方法です。しかし、この方法は空気穴が必要なこと、そしてモータなどの稼動部があるので(前述した軸受の摩耗)、故障の原因になったり、寿命の影響が出てきやすいというデメリットがあります。さらに騒音(羽の風切り音や軸受の騒音)の問題もあります。LED照明も数百ワットもの大型の物や、逆に放熱面積のない小型の製品ですと付いている場合があります。
世界のLED照明メーカー(だけではなく全ての電子機器メーカー)は、この大きさという制約、およびデザイン性と寿命のバランスで設計をしているのです。

ここからは、「では、KKテクノロジーズはどうなの?」という疑問にお答えしていきます。

KKテクノロジーズの努力

これまで述べてきた通り、LED電球の寿命を決定づけてしまうのが、電解コンデンサと熱です。私たちは、この温度による寿命の原因となっている電解コンデンサーをなくそうとしました。そうすると、設計も楽でデザインも良く、寿命も延びるからです。実は、当社以外にも電解コンデンサを使っていないLED電源は存在しますが、フリッカー(携帯電話のカメラで撮影すると縞模様が出る要因)が出たり、他の機器に影響を与える電磁ノイズが発生する、価格が大幅に上がるなどの問題がある場合がほとんどでした。そこで私どもは、技術的な課題をクリアしつつ、出来るだけ価格の高騰を抑えられるような、電解コンデンサを使用しない電源を開発しました。
寿命がある部品を使っていないので、本当は「永久LED」とか「永遠LED」などとして販売しようと思いましたが、正直嘘っぽい印象も拭えないので、保証期間を長くすることでその良さをわかっていただこうという方向性にしています。

電解コンデンサを使用していない事は以下のようなメリットがあります。

メリット1 設計寿命後でも、消えるリスクは少ない

このLED電球は、設計寿命後でもずっと点灯して私たちの未来を照らしてくれます。これが電解コンデンサを使っている物だった場合、電解コンデンサは中に入っている電解液がなくなった時点で役割を失い、その電球はとても使える物ではなくなってしまいます(詳しくはこちらをご覧ください)。しかし、私たちの電球は電解コンデンサを使用していないため、熱や経年変化によって蛍光体が化学変化して多少色合いは変わるかも知れませんが、使えないレベルにはなりにくいものです。寿命がある部品を使っていないのですから、使用者に「お前はいらん」といわれるまで、一応ついていてくれるはずです。 イメージ的には「大きなノッポの古時計」や「忠犬ハチ公」みたいですね。

メリット2 電源周辺の温度をあげられるので、明るくすることが出来る

同じ面積(電球の大きさ)でも、内部温度を65℃にしなくてはいけないのと、100℃まで上げても良いのでは、当然、パワーをかけて光らせる(発熱)事に対する許容が違ってきます。一般的な「105℃ 2000時間」の電解コンデンサでは、内部電源の周囲温度を100℃にすると、あっという間に寿命が来てしまいます。LEDの発光効率は、年々数%の割合で上がってきていますので、待てば待つほど明るい電球は出てくると思いますが、温度を上げて使える電源がある限り、常にそのトレンドに乗った明るく小さいLED電球をお届けすることが出来るのです。

こんなに長々と書くとは思っていませんでしたが、実は、これでも長寿命で工夫している分はまだまだ書き足りないほどたくさんあります。しかし、百聞は一見にしかずといいますし、使っていただくのが一番だと思いますので、ぜひ一度体験してみてください。

私どものLED照明の開発にはこんな背景や思いがあるのです。是非、お使いいただいて、孫の代までかわいがってもらいたいと思っています。